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■ 気になるからだの危険信号! -むくみについてのお話―




 はじめに

朝起きると、まぶたが腫れぼったくなっていたり、指輪がきつくなっていたことはありませんか?また、「靴下の跡がいつもついている。むくみが取れない。」「足がむくんで靴がはきにくい。」など日常的によく耳にすることがあるかと思います。むくみというのは日常的に起こりやすいものなので、むくみがあってもあまり病気を心配する人はいないかもしれませんが、実は意外と重要な病気が隠れていることがあります。

今回は、むくみの原因と病気の種類、また、どんなむくみが危険なのかをご説明いたします。


 むくみ(浮腫)とは? 

むくみとは医学的用語では浮腫と言われます。浮腫は組織間液の増加、すなわち皮下の体液貯留です。血管内の水分(血漿)が血管外に漏れて組織液(間質液)が増え、バランスが崩れた状態をいいます。浮腫の分布も重要であり全身性の浮腫と、足など身体の一部に症状が出る局所性のむくみに分けられます。

一般的には、全身性の浮腫は心臓、腎臓、肝臓などの内科的な病気が原因となり、局所性の場合は静脈・リンパ管の閉塞や炎症が関係しています。足のむくみのように局所的な症状の場合は、足の静脈の血流が滞って引き起こされています。


1. 浮腫の原因

浮腫が起きる原因は、主に5つに分けられます。

① 血管の静水圧上昇(心不全、腎不全、静脈還流障害、下肢廃用など)

② 血管の膠質浸透圧の低下(ネフローゼ症候群、肝硬変など)

③ 血管透過性亢進(蜂窩織炎、敗血症、熱傷など)

④ リンパ管の異常(乳癌、子宮癌、前立腺癌などの手術後)

⑤ 薬剤性浮腫


2. 浮腫の分布

局所性(片側)浮腫と全身性浮腫に分けられます。

局所性(片側性)の浮腫にはリンパ管閉塞によるリンパ浮腫や深部静脈血栓症などの静脈の閉塞、蜂窩織炎などによる局所の炎症があげられます。

全身性の浮腫は重力の影響を受け、体の低い部位から起こるのが一般的です。座位や立位では下腿に現れやすい場合があります。心不全、腎不全、肝硬変、甲状腺機能低下症などが全身性浮腫の代表的な原因です。


3. 浮腫の状態

浮腫の状態には圧痕性浮腫と非圧痕性浮腫があります。圧痕性浮腫とは浮腫を起こしているところを15秒ほど指で圧迫し、指を離したあとに凹みができるものをいいます。                               

圧痕性浮腫をきたす疾患には心不全、腎不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、深部静脈血栓症などがあげられます。

非圧痕性浮腫の場合は、リンパ浮腫や甲状腺機能低下症が考えられます。


4. 薬剤性浮腫について

  病院に通院されておられる患者様では薬剤性浮腫は原因の一つとして考えておかなければなりません。日常臨床でよく使われる薬剤も浮腫を引き起こすことがあります。例えば、高血圧症の治療薬であるカルシウム拮抗薬、鎮痛解熱剤である非ステロイド性抗炎症薬、糖尿病の治療薬であるピオグリタゾン、漢方薬である甘草がその代表的なものです。新しい薬を開始してから浮腫が見られた場合は、主治医に相談をすることが重要と考えます。


 危険なむくみのサイン

注意が必要なむくみのサインには以下の4つがあります。

1. 体重が急に増えた → 急性

2. むくみが何日も続く → なにか病気がある

3. まぶたのむくみがとれない → 全身性

4. 尿の出が悪くなった → 心臓・腎臓の病気


これらの症状が見られた場合は近隣の病院に受診をお勧めいたします。

また、むくみのチェックには毎日、体を観察することが重要です。簡単にむくみのチェックをするには、鏡で毎日、自分の顔をみて顔面浮腫がないかチェックしましょう。また、下肢はむくみが最もよく起こる部位ですので靴下のゴムの跡がくっきり残るかを見てみましょう。


                   高石藤井病院 院長 長谷川 隆生 医師

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