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予防接種の基礎知識
1)予防接種ってどんなもの?
予防接種は、感染症(うつる病気)を防ぐためのものです。
感染症の原因には、様々なウイルスや細菌、毒素などがあります。
抵抗力のないまま感染症にかかると、症状が重くなったり、それだけでなく、後遺症が残ったりすることもあります。
たとえば、百日ぜき。1才未満の赤ちゃんは、激しいせきが続き、呼吸が止まるなど命とりになることがあります。
はしかは、うつりやすい病気ですが、死亡するのは大半が0-4才児。
ポリオは、今では、流行することはありませんが、自然に感染すると1000人に一人の割合で、
麻痺などの後遺症が残るといわれています。
そんな病気を防ぐために、細菌やウイルスの毒性を弱くして作ったのがワクチンです。
ワクチンを飲んだり、注射したりして、体の中に入れて、抵抗力(免疫)をつける。
それが、予防接種なのです。
健康を守るための、大切な手段の一つです。
副反応がしばしば問題にされますが、「ワクチンでひどい副反応が出る確率」と「接種せずに病気にかかり、重い後遺症が残る確率」比べたら、予防接種を受ける方がリスクは少ないのです。
さらに、かかりつけ医のところで予防接種を受ければ、副反応かどうか、普段の健康状態を踏まえて対応してもらえます。
かかりつけ医と相談して、体調をみながら、計画的に受けていきましょう。
2)ワクチンの種類
ワクチンには、大きく分けて、生ワクチンと不活化ワクチン、トキソイドがあります。
●生ワクチン(ポリオ、麻疹、風疹、BCGなど)
生きた病原体の毒性を弱めて作ったものです。病原体は生きているので、予防接種をしてからしばらくして、発熱や発疹などの感染症の症状が軽く出ることがあります。
生ワクチンを接種したあとは、次のワクチン接種まで27日以上間隔を開ける必要があります。
●不活化ワクチン(三種混合、日本脳炎、インフルエンザなど)
病原体を殺し、免疫を作るために必要な成分だけを残して、毒性をなくしたものです。
生ワクチンとは違い、一度の接種では免疫ができにくく、何回か接種し、体に記憶させて免疫を作ります。
一定の間隔で数回接種して、初回免疫をつけたあと、約1年後に追加接種をして基礎免疫ができあがります。追加接種をしないと、先にできた抗体も少しずつ減ってしまいます。
長期に免疫を保持するためにも、追加接種は忘れないようにしましょう。
不活化ワクチンを受けた後、
次に違う予防接種をする場合には6日以上間隔を開ける必要があります。
●トキソイド(ジフテリア、破傷風など)
トキソイドは、細菌が産生する毒素を取り出してその毒性をなくしたものです。
基本的には不活化ワクチンと同じもので、免疫をつけるには何回かの接種が必要です。
3)定期接種と任意接種さらに同時接種
日本で接種できるワクチンは、定期接種と任意接種に分けることができます。
●定期接種
国や自治体が「受けるように努めなければならない」と強くすすめている予防接種です。決められた期間内なら原則的に公費(無料)で受けられます。BCG、DPT、ポリオ、DPT-IPV(四種混合ワクチン:三種混合+不活化ポリオ)、MR(麻疹=ましん、風疹=ふうしん)、日本脳炎、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌、HPV(子宮頸がん予防)ワクチンなどがこれにあたります。決められた期間を過ぎてしまうと、自費になってしまうので気をつけましょう。
●任意接種
定期接種に含まれていない予防接種ですが、必要性については定期接種と変わりありません。原則自己負担ですが、公費補助している自治体もあります。かかりつけ医に相談して、積極的に受けましょう。任意接種には、おたふくかぜ、インフルエンザ、ロタウイルス、B型肝炎などがあります。
●同時接種
0歳の赤ちゃんが受ける予防接種は種類も多く、しかもBCGやロタウイルスワクチンは生ワクチンのため、接種後は4週間あけなければなりません。1種類ずつ接種していたのでは、必要な時期までに免疫をつけることができないということになりかねません。そこで、子供を確実に守るために、世界中で行われているのが同時接種(一度に何種類かのワクチンを接種する)という方法です。3種混合のようにあらかじめ混合されているワクチンを注射する場合もありますし、ヒブワクチンや、肺炎球菌ワクチンのように単独のワクチンをそれぞれ同じ日に注射するということもあります。同時接種をするとしても、いつも体調が良いとは限らないのが赤ちゃんです。生後2か月がワクチンデビュー。かかりつけ医に相談して、あらかじめ計画を立ててワクチン接種を進めていきましょう。
4)予防接種を受ける前に
●予防接種は体調のよいときに受けましょう
予防接種は、体調のよいとき元気なときに受けるのが原則です。
乳幼児の場合は、特に、機嫌はどうか、いつもと違う様子がないか、注意してみてあげてください。
熱が無くても予防接種は見合わせた方がいい場合もあります。
心配なときには、普段の様子をよく知っているかかりつけ医のところで相談しましょう。
●次のような場合は予防接種はできません。ご注意下さい。
*はしか、おたふくかぜ、水ぼうそう、風疹が治ってから、4週間以上過ぎていないとき、
*手足口病、伝染性紅班、インフルエンザ、突発性発疹がなおってから、
2週間以上すぎていないとき
*けいれんを起こしてから、3ヶ月以上過ぎていないとき
5)予防接種を受けた後
●接種したあと、30分
ごくまれなことですが、アナフィラキシーショックなど、ひどい副反応が起きることが、
ありえます。そんなとき、すぐに対応できるよう、予防接種を受けた後は、すくに帰宅せず、30分くらいは病院の中にいるようにしましょう。
●接種したあと、その日は
激しい運動は避けてください。
お風呂に入ってもかまいませんが、注射したところをわざとこすらないようにしてください。
●副反応かなと思ったら、
接種したところが大きくはれたとき、接種した側のわきの下のリンパ腺が大きくはれたとき、
発熱、頭痛、嘔吐が見られ、様子がふだんとちがうとき、こんなときには、医師の診察を受けてください。
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