先にお知らせしたとおり 8月31日(土)アプラホールにて医師会主催で?高石市地域包括ケアシンポジウム 「終生住み慣れた地域で暮らす」 を実施しました。
当日は800名収容の大ホールに、座れずに立ち見の人が出るくらいの来場者があり、準備した資料がすぐに足りなくなってしまってあわてるほどでした。時間を割いて、シンポジウムに参加していただいたたくさんのみなさんに深く感謝しています。
岩田会長のあいさつに続き、まず、厚生労働省保険局長の唐澤剛氏が講演されました。唐澤氏は、地域包括ケアシステムとは、「介護が必要になっても、住み慣れた地域で、その人らしい自立した生活を送ることができるよう、医療、介護、予防、生活支援、住まいを、包括的かつ継続的に提供するシステムであり、超少子高齢化社会に不可欠なもの」であると定義されています。包括ケアとは、利用者にとって先の見通しがつく、安心と信頼に基づいて、一体的に提供されるサービスでなくてはならないし、そのためには、多職種協働による地域における総合的なチーム医療介護が必要であり、ケアの提供者が互いに「顔の見える関係」であること大切であると指摘されています。地域包括ケアとは、「制度ではなく、マネジメントによって作られるものである」と。
続く長尾クリニックの長尾和宏院長による講演、「在宅療養を上手に使って、高石で長生き!」は、長く在宅療養に携わってこられた経験に裏打ちされ、わかりやすく、看取り、終末期といった重いテーマを扱っているにもかかわらず、会場には笑いが続いていました。豪華な施設に入所させることが親孝行ではない。歩いて施設に入っても、ケアがうまく機能しなければ逆に寝たきりになってしまう。施設に頼るのでなく、使い勝手が悪い古い家でも、認知症であっても、おひとり様であっても、在宅療養をうまく使って、「住み慣れた我が家で、最後まで笑顔で過ごすことができると知ってほしい」と強調されていました。在宅療養がうまく機能していくためには、ケア提供者の間で、「顔が見える」だけでなく「腹の中の見える」関係こそが大切なのだそうです。主治医が中心になって、他の職種の意見を織り交ぜながら、利用者にとって最善の形にまとめていくことが大切。そして、ケアをうまくつないで、「笑顔の看取りまで持っていくことこそが、かかりつけ医の仕事の醍醐味である」と強調されていました。
続くパネルディスカッション?住み慣れた地域で安心して暮らせる高石をめざして?には、石田雄三 前医師会長が参加して、在宅を支える医療の提供、多職種連携のための連絡会、インターネットを使っての情報共有などの医師会の取り組みや、地域に出向いて在宅介護についての説明会を実施していることなどを紹介しました。さらに阪口伸六 高石市長は、公的な医療、介護だけではなく、地域の自治会などを通じて、互いに助け合う「互近助隊」による共助の仕組みや、校区の福祉活動にも取り組んでいると説明された。会場からの質問に答える形で熱心な討論が行われ、3時間余りの予定された時間が少なく感じられるほどでした。
市民の関心の高さ、地域包括ケアの要として期待されている医師会の役割をあらためて痛感させられました。今後の活動の指針として大切にしていきたいと考えています。
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