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予防接種
任意接種ってどんなもの?
自費で接種が受けられるワクチンとして認可されているものに、おたふくかぜ  破傷風 A型肝炎 帯状疱疹のワクチンがあります。日本ではまだ定期接種になっていないのですが、世界中の多くの国で、定期接種として広く 接種されているワクチンです。
1)おたふくかぜ
おたふくかぜウイルス(ムンプスウイルス)によってかかる病気です。耳たぶのすぐ下にある耳下腺が腫れてきます。かかっても軽い場合が多く、不顕性感染と言って知らない間にかかっている場合もあります。大人の男性がかかると不妊症になるという事があるとよく知られていて、はやっていたら子供のうちにうつしてもらおうと考える人もたくさんあるようです。けれども、子供がかかっても重い合併症を引き起こすことが多いのです。自分の子どもだけは重症にならない、という保証はありません。
  • 無菌性髄膜炎が約50人に1人の割合で起こります。これを発症すると強い頭痛を訴え、嘔吐することもあります。
  • 重度の難聴になることがあります。約1,000人に1人の割合で、年間700人くらいがかかっていると推定されています。これは、一生治りません。
  • 脳炎が毎年約30人に起こっていて、障害が残ったり死亡したりすることもあります。
     
残念ながら、ワクチンも完全ではありません。ワクチンをうった後、数千人に1人の割合で、無菌性髄膜炎になることがあります。これは、接種後16日前後におこります。そのころに、発熱や嘔吐、不機嫌が続くようなことがあれば、必ず受診してください。ただし、無菌性髄膜炎の発生率は接種しないで自然感染(100人に1~2人)するよりもずっと低く、重症にもなりにくいものです。ワクチンをうたずに50人に1人のくじを引くか、ワクチンをうって、数千人に1人のくじを引くか、どちらを選ぶか、だと考えてみてください。やはり、ワクチン接種をお勧めしたいと思います。
2)A型肝炎
A型肝炎ウイルスに汚染された食べ物を食べることでうつります。衛生状態が良くなったので60歳以下の日本人の多くは免疫を持っていません。中、低開発国ではA型肝炎は常に流行しているため、海外旅行時、長期滞在時には子供でも接種が強く勧められます。1歳以上であれば、2~4週の間隔で2回接種し、その半年後に3回目を接種します。
3)破傷風ワクチン(トキソイド)
破傷風は、けがをしたところから、破傷風菌が体の中に入ってきて、細菌が作る毒素により、痙攣などの特有な症状を起こす病気です。破傷風菌の感染は転倒や、土いじりなどの時の傷から感染することが多いと言われていますが、はっきりした傷がわからないときもあり、誰にでも感染する可能性があるといわれています。
  日本では年間100人程度発生しています。数は少ないのですが、死亡率20~50%と致命的な病気になることが多いのです。破傷風は感染しても免疫を獲得できず、ワクチンを接種する以外に免疫をつける方法はありません。
  3種混合、2種混合の予防接種により、昭和43年以降に生まれた人は、90%以上の人が抗体を持っています。しかし、昭和43年以前に生まれた人は特別な場合を除いて、破傷風に対して免疫を持っていません。東日本大震災に関連して報告された破傷風患者は、
ほとんどが
3種混合を打っていない50歳以上でした。

トキソイド0.5mlを、3~8週の間隔で2回接種し、6カ月以上経過後に3回めを接種します。
4)RSウイルスワクチン
RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染によって引き起こされる呼吸器感染症です。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、風しんや麻しん、感染性胃腸炎などと同じ5塁感染症に分類されており、乳幼児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして知られています。

RSウイルスは、2歳までにほぼすべての子どもが感染するとされていますが、その後も何度も感染と発症を繰り返すのです。健康な人の場合は、軽度な風邪症状だけでおさまる場合がほとんどですが、高齢者や基礎疾患のある成人の場合は、RSウイルス感染が重症化して肺炎などを引き起こすことがあります。高齢者や、喘息、冠動脈疾患、糖尿病、COPD、うっ血性心不全などの基礎疾患がある場合は特に注意が必要で、健康な人に比べて入院率比が2倍~10倍以上になることが知られています。

60歳以上の高齢者を対象に、RSウイルスワクチンが発売されました。重症化リスクの高い人にとっては、肺炎予防の選択肢の一つになると思います。

 
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